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【ZEN大学すずかんゼミ】Google生成AI「Gemini」を活用した社会課題の解決へ、学生発表会レポート

2025年7月10日、「Gemini Day for Students - ZEN大学すずかんゼミ - 」が開催されました。日本全国から東京・渋谷にあるGoogle合同会社のオフィスに集まったゼミ生たちも、海外在住者も含めてオンラインで参加したゼミ生も、ハイブリッド形式で一緒に発表会に臨み、社会課題に真っ向挑むユニークなアイデアを発表しました。

ゼミ生は、この日までにGoogleの生成AI「Gemini」の活用方法を学び、課題解決プロジェクトを具現化することに取り組んできました。短い制作期間ながら、どの発表も高い完成度と独創性にあふれた内容となりました。本レポートでは、23チーム中、5つのプロジェクトをピックアップしご紹介します。


1. 17班「障害に理解のある社会へ──発達障害×AI」

「発達障害を“脳の整理が難しい状態”と捉え、AIで環境を整えることはできないか?」という視点から生まれたこのプロジェクトでは、Geminiを活用して発達障害の特性を分析し、どんな教育環境や情報提示が適切かを模索しました。

チームは「脳内がカオス」という当事者の声を起点に、記憶偏重型の従来教育からの転換を提言。Geminiの力を借りて、情報を整理・意味づけしやすい環境とサポートツールのプロトタイプを開発しました。数学的思考の導入によって論理的な“脳の地図”を描けるようになるなどのアイデアは、様々な場で活用されることが期待できます。


2. 7班「教えて!はたえもん──農業エージェントの誕生」

農業従事者の激減・高齢化と補助金の申請難易度に注目したプロジェクト。チームメンバーは「申請書類が複雑で手が回らない」という現場の声をもとに、農業支援AI「はたえもん」を開発しました。

Geminiを活用して補助金制度の情報を整理・要約し、申請書作成をガイドするだけでなく、ポッドキャストやビジュアル素材も生成。その完成度の高さには「リサーチ・デザイン・実装の三拍子が揃っていて、もうローンチできるのでは?」との声もあがりました。


3. 2班「囲碁でつながる──国境を越えるコミュニケーションゲーム」

「現代社会の人間関係の希薄化を囲碁で乗り越えられないか?」という斬新な発想から生まれた2班の提案では、Geminiを活用して、協力型の囲碁ゲームを開発。プレイヤー同士が対話を通じて進行する設計により、国籍や年齢を超えたコミュニケーションを促進します。

ゲームのプロトタイプにはAIによるナレーションや映像演出が加えられ、短編映画のような仕上がりに。Geminiの画像から動画を生成する機能も駆使され、AIと創造性の見事な融合を見せました。


4. 13班「地域創生ゲームジェネレーター──地方の未来は君の手に」

地域活性化に取り組んだ13班は、「地域課題にゲームで関わってもらうにはどうすればよいか?」という問いを出発点に、Geminiを活用したプロンプト入力式の「ゲームアイデア生成ツール」を開発しました。

ユーザーが地域情報や課題を入力すると、Geminiが創造的なゲームアイデアを即座に提案。Canvas 機能(※)を用いたGeminiの組み込みも紹介され、AIの可能性を教育・まちづくりへ応用する実験として意義深いものとなりました。

※ Canvas 機能は、Geminiが生成した内容をリアルタイムで直接編集できるインタラクティブなスペース。


5. 5班「AIカウンセリング──メンタルヘルスに寄り添う存在」

心の悩みを抱える人々にAIがどこまで寄り添えるか?という実践的なテーマに取り組んだ5班は、Geminiに対して「精神科医」としての人格を持たせるプロンプト設計を試みました。

「事実と感情を分けて記述して」といった具体的な指示を与えることで、AIがより穏やかで理解のある返答を返すようになり、自己理解や内省を深めるツールとしての価値を提示。Geminiの制限事項(医学的診断などを避ける)を理解した上で、その「限界の中の可能性」を丁寧に探っていました。


“問い”の強さが、AIを味方につける

この発表会では「技術力そのもの」ではなく、「問いの鋭さと本気度」がAIとの対話の質を大きく左右するということが示されました。ゼミ生たちは、社会や自分自身が抱える根深い問題に対して、真正面からGeminiと向き合い、解決策を編み出していました。

発表を見守っていたすずかん先生こと鈴木寛客員教授、作道直幸准教授からも「この短い期間でこれだけのプロトタイプができるのはすごい」「アウトプットの見本市だった」というコメントが寄せられました。AIを“使いこなす”のではなく、“ともに考える”姿勢こそが、これからの時代の学びの鍵となることを強く感じさせた発表会となりました。

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