「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを池田達彦・准教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
大学生のころ変に尖って授業にあまり出ず、その代わりに気の合う仲間(同級生・先輩・後輩)とよく遊び・よく学び(自主ゼミ)ました。自分が興味を持ったことを、自分のペースで、自分が納得するまで探求できたのはとても良かったです。付き合ってくれる仲間がいると尚良いです。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
人間が生まれつき持っている欲求のため、でしょうか?小さい子はいつも、知らないことを「なぜ?」と大人に聞いたり、何か上達したいことは大人の真似をしたりして、自然に学ぼうとしています。子どもが成長して大人になって学びの形が様々に変わっても、根本的なところは変わらない自然な欲求なのではないでしょうか。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
スペンサー・ジョンソン『チーズはどこへ消えた?』門田美鈴(訳)/扶桑社
池田達彦・准教授の授業(シラバスと概要)
・「量子力学」シラバス
量子力学とは何か、その歴史と基本的な理論体系を学ぶ講義である。線形代数や微分積分の知識を前提に、量子性と呼ばれる4つの特性「物理量の離散化」「状態の重ね合わせ」「不確定性」「エンタングルメント」を学ぶ。できるだけ計算の煩雑性に惑わされずこれらの本質に迫るため、2準位量子系(量子ビット)やダイヤモンドのNV中心などの有限次元モデルを中心に講義する。オンデマンド授業という形式をとり、各回の講義内容は繰り返し見直し、必要に応じてWebでの調査も行いつつ、理解を深めることを目指す。評価は確認テストとレポート、及び単位認定試験による。本講義を通じて、量子力学の考え方を理解しそれを用いて物理現象を説明できる力を養う。
・「熱統計力学」シラバス
本科目では、密接に関係する2つの物理学「熱力学」および「統計力学」を体系的に理解させる。これらはマクロとミクロの世界を繋ぐ普遍的な法則から成り、現代物理学に欠かせない理論体系である。前半の熱力学では、その基本法則の内容を具体例を通して順に解説する。後半の統計力学では、カノニカルアンサンブルを軸に様々な具体例を解析することを通じて、気体や固体のマクロな性質の理解を深めるとともに、統計力学の運用力を養う。
・「量子コンピュータ演習」シラバス
スパコンより桁違いに高速な計算が実行できる可能性を秘めた量子コンピュータ。この動作原理、アルゴリズム、そしてプログラミング手法を取り上げる。座学と実践を組み合わせた本授業を通して、量子プログラムを設計、実装、実行する能力を養う。本授業は線形代数の知識が前提となり、量子物理学の知識は(あれば理解の助けになるが)必要としない。基本事項を座学で講義した後、実際にいくつかのアルゴリズムの実装実習を通じて、量子プログラムを読み解き、実装する能力を高める。
・「ゼミ(量子科学技術)」シラバス
このゼミでは、量子計算や量子物理学に関連する事柄について、理論的な研究課題を設定し、課題に取り組み、その結果を発表するための基礎力を養成する。前半では、必要となる基礎知識を専門書や論文を批判的に読むことで身につける。後半では、教員との対話を通じて課題を設定し、進捗報告とフィードバックを繰り返し、課題解決を図る。最後に、得られた研究成果または身につけた専門知識を資料にまとめて、最終成果物とする。優れた成果は学会等の対外発表を行う。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。