「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを上山信一・教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
学生時代から探検や旅行、放浪が好きでした。それは趣味だと思っていたのですが、24歳の時に南米旅行記を書きました。そこで現場調査をして文献と突き合わせ、自分の意見を表現する面白さに目覚めました。それがやがていろいろな会社の実態を調べて提言する経営コンサルティングや自治体の経営改革のアドバイザーの仕事につながっています。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
他の人の役に立てることは生きがいの素だし、そうでないと生きていくお金(お給料や報酬)ももらえません。人生を成り立たせ、充実させるために学ぶのです。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
宮本常一『忘れられた日本人』/岩波書店
上山信一・教授の授業(シラバスと概要)
・「企業経営」シラバス
本科目では企業が起業の後に他社との競争の中でいかに経営されていくかを、多数の企業の改革に参画してきた経営コンサルタントである講師の視点から教示する。具体的には小売り、遊園地、ホテル、機械メーカー、ネットビジネスなどの幅広い事例を通じ、マーケティングから戦略構築や組織運営、さらに経営再建などの経営手法を学ぶ。
・「地域アントレプレナーシップ」シラバス
地域は、農業や食、地場産業などの育成や事業承継、さらに少子化、高齢化、人手不足などさまざまな課題を抱えている。こうした課題解決の担い手は一義的には自治体や企業、農協などの組織だが、実際の成否を決するのは個人の活躍である。本授業では地域課題の解決の決め手となる個人の活躍に着目し、そこにおけるアントレプレナーシップの発揮とそれを支える環境やメカニズムをさぐる。すなわち、この授業では地域において組織の中、あるいは外にあって個人が自らの創意工夫を手掛かりに周りを巻き込みながら地域課題を解決していくダイナミズムを「地域アントレプレナーシップ」と定義し、その本質や成立条件を多面的に分析し再現可能性を探求する。なお各回の授業は地域アントレプレナーシップの事例に精通する専門家の協力を得ながら各地の具体例を掘り下げ、また必要に応じゲストとして各地で活躍するアントレプレナーを招き、対談、ヒアリングなどの多様な方法論でアントレプレナーシップの本質とその発揮の方法を学ぶ。
・「地域課題の解決とイノベーション」シラバス
地域には観光集客、農業振興、中心市街地の活性化、子育てなどさまざまな課題がある。この授業では、各地の事例を手掛かりに地域が抱える課題を理解し、またそれを解決する方法について学ぶ。 なお、地域の再生の主役は人である。誰かが課題を直視し、仲間を募って解決に挑む。企業の協力を得たり、行政の補助金をもらったり規制の見直しを働きかける。この授業では課題の構造分析、利害調整、交渉、関係者(ステークホルダー)の共感取り付けと巻き込みなど、実際に課題の解決に挑む人の視点に立って地域を変えていく方法を考える。
・「課題解決と改革のリーダーシップ」シラバス
本科目では企業や学校、都市や地域などの様々な組織、そして社会や国家が直面する課題を理解し解決するための洞察力を養うとともに、課題解決の方法論を学ぶ。具体的には、事例を手がかりに課題の原因や構造の理解、組織が持つ資産(人材、資金)、外部環境の理解を深めていく。様々な事例をもとに特に課題の掘り下げ方について議論をする。
・「ゼミ(ビジネスモデル分析)」シラバス
1ラウンドにつき3~4社の対象企業を設定し、それぞれの企業、業界が抱える課題を洗い出した上で、実践的な改革提案の策定プロセスを指導する。1~15回と16~30回の2ラウンドで実施する。具体的には消費者ヒアリング、データ分析、企業に対するヒアリング等をもとに提案を組み立てる。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。