「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを印南一路・教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
医療政策で博士号を取るためシカゴ大学に行ったが、1年で指導教員のグループが解雇され、専門を新たに見つける必要が生じた。当時受けていた科目で最も面白いものが「意思決定論」だったので、こちらで博士号を取得した。この意思決定論が後に行動経済学になり、ナッジ&行動インサイトに発展する。人生は意思決定次第。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
公共哲学にいう「善き人生」のため。学ぶことの楽しさを知らない人生は不幸だ。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
ジェームズ・アレン『原因と結果の法則』坂本貢一(訳)/サンマーク出版
印南一路・教授の授業(シラバスと概要)
・「意思決定の能力開発」シラバス
個人から社会に至るまで、我々の日常生活は意思決定にあふれている。意思決定は選択とそのための判断と定義される。意思決定の結果は、場合によっては自分の人生や社会に大きな影響を与える。本講義は、個人・小集団・組織の意思決定の順に、行動経済学、認知心理学、社会心理学等の知見を分野横断的に活用することによって、統合的な視座を与え、実際の能力の向上を図ることを目的にする。
・「交渉・合意形成概論」シラバス
2人以上の人間や集団の間では、利害が完全に一致することはない。デートの場所の決定から国際紛争の解決に至るまで、合意を達成するには、何らかの交渉が必要となる。ビジネスの大部分は組織内外の利害関係者との交渉に絡んでおり、またほとんどの政策は利害団体の間の連続的交渉によって決定される。本科目は、交渉に関する科学的知見を分野横断的に提供するとともに、交渉力をつけるための実践的方策を提供する。
・「ゼミ(意思決定研究と実践)」シラバス
意思決定(交渉を含む)分野での研究を1年間かけて行う。意思決定はあらゆる分野に絡むので、学術的な概念でも社会現象の分析も対象にする。また何か実践活動を行っても構わない。領域は経営のみならず政策でもよく、ありとあらゆるテーマを許容する。受講者自身の研究・実践活動なので、あくまで主体は受講者であり、講師は横から手助けをすることに集中する。基本的な講義は、研究の仕方について2回行うだけである。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。