「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを大塚淳・教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
高校生時代は、そもそも大学に行くつもりはありませんでした。高3のとき、たまたま「楽だから」と取った選択の倫理の授業で哲学という学問の存在を知り、大学に行ってみることにしました(もちろん浪人しましたが)。人生のきっかけは、意外なところに転がっているものです。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
学ぶことで、世界を別の仕方で見ることができるようになる。それはあたかも、一回の人生を複数の異なった仕方で生きることができるようなものです。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
柳宗悦『南無阿弥陀仏―付・心偈』/岩波書店
大塚淳・教授の授業(シラバスと概要)
・「人文社会入門」シラバス
ZEN大学で学べる「世界理解」科目群では、各学問分野の「ものの考え方」を深めることを意図している。具体的に、学問分野ごとの「ものの考え方」の多様性とはどのようなものか、各分野を学ぶことでどう世界の見方が拡がるか、それによって何がわかるようになるかを、分野ごとに各教員が説明する。
・「科学哲学」シラバス
今日の我々の生活は、科学なしには考えられない。それとともに、「科学的である」ということは「正しさ」の基準のように捉えられている。しかし一体、「科学的である」とはどういうことだろうか?実のところ、科学という営みは実に多様であり、一言で定義できるものではない。本講義では、そうした多様な科学的営みを支える「科学的な考え方」や「推論の仕方」を、科学哲学の観点からあぶり出していくことで、過去、現在、そして未来の科学のあり方を考えていく。
・「統計学を哲学する」シラバス
現代社会・科学において、統計学はデータから結論を導き出す装置として、特権的な役割を担っている。しかしなぜ統計学は、こうした役割を果たすことができるのだろうか?本講義では、統計という語で一般にイメージされるような数学的操作ではなく、むしろそうした数理の背景にある「考え方」を哲学的観点から捉えることで、その答えを探る。
・「AI時代の科学と哲学」シラバス
深層学習に代表されるAI技術は、我々の日常や社会生活だけでなく、今後の科学のあり方をも大きく変えていくことが予想される。本授業では、近代科学の根底にある「合理的で、客観的で、万人にとって有用である」という理念の成り立ちを確認した上で、来るべきAI駆動科学が従来のこうした科学観にどのような影響を与えていくか、ということを考える。
・「ゼミ(数理哲学)」シラバス
一般に哲学は数学とは「水と油」のような関係だと考えられている。しかしこれは全くの間違いである。理論的思考を突き詰める哲学的思索には、数学と相通じるところが多くある(実際、デカルトやライプニッツなどの哲学者は、同時に数学者でもあった)。本ゼミでは、そのようなスピリットのもと、「哲学を数学的に行う」ことを演習形式で体得することを目指す。哲学的問題の数理モデリングに関するオリジナル教材を使用し、様々な数理的手法の「使い方」を体得するとともに、グループワーク等を通じて、そうした手法を用いて哲学的問題を自分でモデリングできるようになることを目指す。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。