「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを佐藤弘崇・客員講師に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
正直、あまり深く考えずにその場その場のノリで行動してきました。その過程で様々な人と話し、なんとなく面白そうだな~と思った方向に歩みを進めていった結果、知らず知らず力を身につけていき、この度 ZEN 大学で教えるという機会に巡り合うことができました。私が大学で授業を受けていた当時はそんなことは全く予想もしていなかったわけですが、大学で幅広く学習した内容を活かして、いま私は現在の仕事をこなしています。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
Diversity provides counterexamples to your tacit assumptions. 無意識に当たり前だと思っていること、果たして本当ですか? 世界は皆さんの想定よりも常に多様で、暗黙の前提を覆す「反例」が至る所にあります。しかし、見知った範囲だけ見ていてはそれらの存在に気づけません。世界が提供してくれる「反例」に幅広くアンテナを張るために私たちは学ぶのです。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
①佐藤健太郎『炭素文明論 「元素の王者」が歴史を動かす』/新潮社
②高木雅行『タテジマ飼育のネコはヨコジマが見えない あるのに見えない、ないのに見える感覚と心の不思議』/SBクリエイティブ
佐藤弘崇・客員講師の授業(シラバスと概要)
・「オートマトンと形式言語理論」シラバス
この科目では、オートマトンをはじめとする「計算機のモデル」のパラダイムと、「言語」という概念を数学的に定式化した「形式言語」という枠組みの 2 つをテーマとして取り上げ、一見距離のあるこれらの 2 つの間の密接な関係と、この 2 つが織りなす「計算」という現象に肉薄するとともに、具体的なプログラミング言語や計算機の実装方法や規格書などを垣間見ることで、普段はとりたてて詳しく追いかける機会の少ない「計算」「計算機」「プログラミング言語」といったものを掘り下げて「脱・神秘化」(demystify) していく。 さらに、正則言語や文脈自由言語などの言語クラスが持つソフトウェアエンジニアリング領域へのきわめて重大な応用を学ぶことで、実践的技術と理論的直感の両方を培う。
・「理論回路概論」シラバス
コンピューターがどうやって「計算」をしているのかという仕組みを、ビットのレベルまで掘り下げて把握していく。まずは、2 進演算の基礎となるブール代数と論理ゲートを知るところから始める。これらの原理を理解した上で、ハードウェア記述言語 (HDL) を用いて、自分自身で論理回路を作り出す。授業の前半を通じて組合せ回路に慣れ親しみ、その後でレジスタ・メモリ・カウンタといった時間の概念が絡む部品を構成し、コンピューターの中核となる部分を作り上げていく。最終的には、機械語を使ったプログラミングを実際に行い、「ひとつずつ命令を処理する CPU」という素朴なモデルを身につける。