「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを出口康夫・客員教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
高校2年までは日本史志望でした。2年生の夏に、同じ時代を扱った書物を2冊読み、研究アプローチの違い、それに伴う結論の違いに愕然としました。自分が対象に対してどのような態度を取るかによって、対象の見え方がガラリと変わる。世界に対してどのように向き合うべきか。それを見極めないと何も始められない。そう思い込んだ17歳の僕は、世界への向き合い方を問う学問(と勝手に思い込んだ)「哲学」へと専攻を変えた訳です。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
“Learn to criticize” 「批判するために学ぶ」という言葉があります。「学ぶ」とは、教えられた内容をそのまま鵜呑みにすることではなく、学んだ内容を批判的に吟味し、腑に落ちない点があれば納得がいくまでとことん調べ考え抜き、自分なりの対案を提案する営みなのです。このように、他人の意見に無批判に従うのでもなく、批判のための批判を行うのでもなく、積極的で健全な批判を行う態度を身につけること。それが「学ぶ」ことの目的なのです。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
H.M. エンツェンスベルガー『政治と犯罪』野村修(訳)/晶文社刊
出口康夫・客員教授の授業「哲学概論」はシラバスをご覧ください。
―「哲学概論の概要」―
西洋哲学は、神との本格的な決別を果たすことで「現代哲学」へと変貌を遂げました。本授業では、西洋近世哲学の一つの完成形態であるカントやヘーゲルの哲学から説き起こし、アジアの思想をも視野に入れつつ、19世紀から20世紀にかけての神なき時代の現代哲学の流れを追い、ますます多様化しつつある21世紀の状況にふさわしい哲学のありかたを考える。