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【なぜ、私たちは学ぶのか】Vol.04  加藤文元・教授

「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを加藤文元・教授に投げかけてみました。

学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか? 


(私が数学を専門とするまでのエピソードは、私の名前のWikipediaでどなたかが書いてくれています(一応、正確です)。そちらは200文字を超えていますので、一応、その要約を書きます。)大学生のとき自分で一つの数学の理論を作ったことがありました。それが実は現代数学の専門書に書いているものだったことがわかり、それを自分で勉強しているうちに、自分がとても苦労して作ったり表現したりしたものが、現代数学の言葉で見事に構築されていることを目の当たりにしました。現代数学の力を思い知り、しかも自分にも何かができそうな感じがしたことがきっかけとなり、数学の道に進むことにしました。

なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?


知ること・学ぶことはよりよく便利に生きるための一助となりますが、それだけでなく、知ること自体に計り知れない喜びと魅力があるものだと思います。知ることの楽しさは、何か今までできなかったことができるようになる楽しさと同じです。いろいろなことができれば楽しいのと同様に、いろいろなことを知り、理解すれば、それだけで人生がより楽しくなる。そういうものだと思います。

大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。


①池田潔『自由と規律―イギリスの学校生活』/岩波新書
②会田雄次『アーロン収容所―西洋ヒューマニズムの限界』/中公新書

加藤文元・教授の授業(シラバスと概要)

「数学史」シラバス
- 数学は第一級の歴史・考古学資料になり得る。 - 数学史とは各々の文明圏から生じた数学の伝統が征服と同化を繰り返しながら一つの「世界の数学」に収斂していく文化的征服史である。 ● これらの基本理念に基づいて、各々の時代・地域の歴史を背景として浮き彫りになる数学の魅力を描き出すことを目的とする。数学を作ったのは誰か?各々の地域・時代で数学の担い手は誰だったのか?このように歴史の文脈の中で数学を見ることで、数学のイメージを刷新し、受講生各自の数学観を新たにしてもらうことを狙いとしている。

「初等代数概論」シラバス
約数・倍数などの初等的な整数の性質から始めて、ユークリッドの互除法、素因数分解などの初等整数論の基本を履修する。その後、合同式やフェルマーの小定理など、整数のより進んだ性質に進み、最終的には、その応用としてRSA公開鍵暗号の仕組みをブラックボックスなしで完全に理解することを目指す。

「環論」シラバス
本格的な抽象代数学の基礎科目として、整数全体や多項式全体などのような足し算+と掛け算・の2つの演算がある代数系である「環」について学ぶ科目である。イデアル論や素元分解の一意性など、環論(特に可換環論)の初歩的事実について系統的に修得することを目的とする。本科目は演習科目に位置付けられ、学生の積極的な参加、問題演習への取り組みが求められる。

「ガロア理論」シラバス
なぜ5次以上の一般代数方程式は代数的な解の公式(あるいは解き方の手順)をもたないのか?このシンプルな問いに対する深遠な解答がガロア理論である。この科目ではガロア理論の本質を理解することを目標とする。 本科目は演習科目に位置付けられ、学生の積極的な参加、問題演習への取り組みが求められる。

「ゼミ(数理科学特論ゼミⅠ)」シラバス
このゼミは、専門教育の最後の総仕上げとして位置づけられている。各人が専門書を読み、毎週担当教員の前で解説する。通常、2〜3人のグループを組み、担当教員から指導を受ける。専門書には詳細な説明が与えられていない場合もあり、論理の飛躍を埋め、整然とした解説を行う必要がある。そのためには、毎回の予習が重要であり、これまでの復習や未習事項の学修が求められる。

「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。

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