「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを田岡恵・教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
私のキャリアは「会計」と「異文化理解」の融合で説明できます。20代でロンドンに移住した際、転職エージェントから「会計はどんな会社でも必要だから、身につければ一生食いっぱぐれがない」とアドバイスを受け、会計の道へ進みました。その後ニューヨークへ移住し、合計8年間ほど異なる文化を持つ同僚たちと仕事をした経験が、私の「会計×異文化」への理解と探究心を育ててくれました。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
学ぶということは、私たち人間に根本的に備わっている欲求だと思いますが、私たちが日々様々な問題にぶつかる中で、問題解決をするために必要な知識やスキルを身につけるモチベーションにさらに火が点くのだと思います。研究者というと好きなことだけを研究しているようで、実は自分にとって「わからないこと」「難問」を深く突き詰めている方が多いと思います。「わからない」経験こそ学びを深めてくれるのだと思います。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
①エリン・メイヤー『異文化理解力-相手と自分の真意がわかる ビジネスパーソン必須の教養』 田岡恵(監訳)、樋口武志(訳)/英治出版
②パウロ・コレーリョ『アルケミスト 夢を旅した少年』山川紘矢・山川亜希子(訳)/KADOKAWA
田岡恵・教授の授業(シラバスと概要)
・「多言語ITコミュニケーション」シラバス
この授業では、最新のITツールを使った多言語コミュニケーションに重点を置いて学ぶ。第一にここでは異なる言語間での意思疎通の要点を学び、国際コミュニケーションの手法を探る。次に実際の海外のソフトウェアツールの利用や開発の現場で使われるコミュニケーション方法、ライセンスや利用規約の理解、海外の情報収集、海外の最新のサイエンス情報の取得方法など、多岐にわたる具体的なスキルや知識を習得する。
・「機械翻訳実践(英語読解・作文)」シラバス
本科目では機械翻訳を英語学習のツールとして用いて、翻訳、逆翻訳などの方法を用いて英語そのものについての理解を深めさせ、今後ますます多様化していく英語世界の中で正しくかつ能動的に英語を運用する力を高める。また、その中で機械翻訳の現状、利点、限界を体験させ、機械翻訳を正しく用いる方法を実践的に修得させる。主にリーディングとライティングのスキルの向上を目指す。
・「機械翻訳実践(異文化理解)」シラバス
異文化理解に関する複数の外国語(英語、フランス語など)による論文、書籍、記事等を機械翻訳を読解ツールとして用いて読み込み、日本語の情報ソースに限らない幅広い情報源からの知識吸収の方法を提示する。また、その背後にある文化的差異や文脈を意識的に発見・解釈し、身近な環境がもたらすバイアスに気づく機会を与える。外国語文献の読解、読解から得られた新たな知識、視点をさらに自らの興味・関心に結びつけて深化させる過程を指導する。
・「異文化理解」シラバス
グローバルにつながった世界に生きる人間として、様々な文化の違いを理解することの重要性と楽しさを認識するきっかけを作る。異文化研究の代表的な概念やモデルの学修を通じて、国の文化の特徴を把握する力を身につけると共に、自分自身のアイデンティティや無意識の偏見を自覚し、他者と共に生き働く上での感度を鍛える。このような知識と意識の獲得を通じて、異文化間でのコミュニケーションや協業に積極的に取り組むマインドを養う。
・「企業経営と会計」シラバス
本科目では、会計の歴史や簿記のしくみの説明から始まり、財務諸表の基礎的な読み方及び実践的な分析方法を修得させる。身近な企業の実例の分析を通じて、財務諸表にあらわれる業種の特徴やビジネスモデルへの関心や理解を高め、学生が将来のいかなるキャリアにおいても会計の知識と理解を積極的に活用するスキルとマインドを養う。
・「人生とお金の管理」シラバス
人生100年時代を迎え金融リテラシーの重要性は近年ますます高まっており、将来を見据えたライフプランニングや資産形成、若者を狙った詐欺に代表される金融トラブルを自ら回避するための判断力といった、私たちの生活に密接に関係する知識をSMBCグループ各社の現役社員がそれぞれの本業で培った経験を活かし講義で伝える。
・「ゼミ(異文化理解)」シラバス
異文化理解分野での研究を1年間かけて行う。理論研究から社会やビジネスにおける事例分析まで、幅広い視点や多様なアプローチでの研究を促す。学生の自主性を尊重し、学生間の積極的な相互フィードバックやグループでの共同研究などを通じて、協業作業に欠かせないコミュニケーション能力の向上も目指す。希望する学生には、英語文献講読の指導も行なう。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。