「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いをプラダン・ゴウランガ・チャラン・講師に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
きっかけではありませんが、母校のデリー大学の院生の時、隣の英文学科の研究者がすごいと思ったことがあります。英文学の研究者が、批判的な視点を持ち、特定の分野に拘らず、分野横断的な研究をする場合が多いです。そこからインスパイアされて、私も様々な分野をまたいだような研究をしたいという気持ちが今も強いです。日本文学について書いた論文を、他の分野の研究者に読んでもらうような研究を目指したいと思います。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
仕事を見つけるためだけではありません。好奇心を満たすだけでもないと思います。特に人文科学の場合はそうです。あらゆる分野に関する知識を得る(学ぶ)ことで、自分自身を知り、周りを理解して、社会全体に幸福をもたらすことを目指すものだと思います。学ぶことは世界をよくするためのものだと考えています。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
ジョージ・オーウェル『動物農場:おとぎばなし』川端康雄(訳)/岩波書店
プラダン・ゴウランガ・チャラン・講師の授業(シラバスと概要)
・「人文社会入門」シラバス
ZEN大学で学べる「世界理解」科目群では、各学問分野の「ものの考え方」を深めることを意図している。具体的に、学問分野ごとの「ものの考え方」の多様性とはどのようなものか、各分野を学ぶことでどう世界の見方が拡がるか、それによって何がわかるようになるかを、分野ごとに各教員が説明する。
・「日本文学Ⅰ」シラバス
本授業では、日本文学から具体的な作品・作家を取り上げ、比較文学的に解読して日本を相対化し、グローバル化された世界で活躍できるための基礎となる概念と思考について考えたい。高等教育における人文系の必要性が問われる最中、文学はなぜ我々現代人にとって必要不可欠なのか、そしてより良い社会造りに文学はいかに役に立つのかについて学んでいく。
・「機械翻訳実践(日本研究)」シラバス
本授業では、海外の研究機関や研究者が運営する日本研究関連の英文資料データベース・ポータルサイトの学術的な文献を読解ツールとして用いて読み込み、日本の資料のみに限らない幅広い情報源からの知識吸収の方法を提示する。そうすることで、文化的差異や文脈を意識的に発見・解釈し、無意識的なバイアスに気づく機会を与える。また、外国語文献の読解から得られた知識、視点をさらに自らの興味・関心に結びつけて深化させる過程を指導する。
・「日本文学Ⅱ」シラバス
本授業では、主な文学的な批評理論・概念を紹介しながら、それを応用して具体的な文学作品を解読し、文学の視点から我々が現在直面している様々な社会問題について考えたい。国内外の文学作品から具体例を提示し、急速にグローバル化された社会において活躍するために基礎となる人文知識と概念について学んでいく。
・「地域研究」シラバス
本授業では、ある国や地域を理解するために、政治学・社会学・歴史学・文化人類学など、多様な領域の知識と考え方を用いる「地域研究」という領域について学ぶ。ある国や地域について理解する上で有用な観点は多様であり、様々な視点から世界の国・地域を理解する手法の理解を目的とする。具体的には、以下3つの能力の修得を目的とする。①国や地域を掘り下げて考え、時事問題や異文化をより解像度を上げて理解できるようにする。②そのための、歴史的・理論的・空間的・文化的な観点を身につける。③地域として、日本を相対化した視点で見れるようにする。
・「日本文学Ⅲ」シラバス
急速にグローバル化が進む現代社会の中で活躍するために、国境を越えた国々、文化、世界観についての知識が不可欠である。本授業では、海外で読まれた具体的な日本文学作品を取り上げ、比較考察の方法を通して、文化の流通と変容の詳細な過程について考えたい。
・「ゼミ(文芸批評論)」シラバス
本授業では、国内外からの具体的な文学作品を取り上げ、文学作品の分析のために使われる主な文学理論について学ぶ。我々は単なる娯楽として読む文学作品を文学理論を使って批判的に解読することで、社会と文化の関係性について理解し、文学はいかにしてより良い社会づくりに貢献できるのかについて知識を得る。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。