「なぜ学ぶのか?」――これは、これからZEN大学で学ぶ皆さんにとって、とても大切なテーマです。授業や仲間との対話、さまざまな体験を通して、自分の生き方や思いと向き合うヒントを見つけてみませんか?今回は、この問いを細井浩一・教授に投げかけてみました。
学生の学ぶヒントになり得るもので、ご自身の専門に進むきっかけとなった出来事などはありますか?
プログラムを習得して非線形モデル分析に取り組むため、大枚をはたいて学生ローンで購入したNECのPC-8801mkIIにオマケでついていたごく初歩的なサンプルゲーム(ウサギの迷路)にハマった。コンピュータというものはただの計算する機械ではなく、創造力を具象化する装置であり、何か別の世界を創り出すキカイであることを直観した瞬間だった。
なぜ、私たちは学ぶのでしょうか?
邯郸学步にならぬよう、温故知新と格物致知を心懸け、初めて見えてくる景色を観るため。
大学時代に読んでおきたいオススメの1冊(タイトル)を教えてください。
デヴィッド・グレーバー/デヴィッド・ウェングロウ『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』酒井隆史(訳)/光文社
細井浩一・教授の授業(シラバスと概要)
・「人文社会入門」シラバス
ZEN大学で学べる「世界理解」科目群では、各学問分野の「ものの考え方」を深めることを意図している。具体的に、学問分野ごとの「ものの考え方」の多様性とはどのようなものか、各分野を学ぶことでどう世界の見方が拡がるか、それによって何がわかるようになるかを、分野ごとに各教員が説明する。
・「日本のゲーム産業史」シラバス
本科目では、日本におけるゲーム産業の歴史を概観しつつ、家庭用ゲームやスマホゲームなど、ジャンルごとの個別の歴史を詳細に取り上げる。日本ゲーム産業を築きあげたビジネスモデルや、ヒットの裏側にあった社会環境、文化的背景などを理解することで、多角的な視点から日本のゲームの歴史の大きな流れを学び、時代の変化に対応する思考力や対応力を養う。なお、いくつかの授業ではゲストスピーカーをお呼びし、ゲームジャンルとは異なる切り口からディスカッションを行う。
・「コンテンツ産業論」シラバス
知的創造産業、情報文化産業としてのコンテンツ産業とそのマネジメントを探求する。現代のコンテンツを代表するMANGA(マンガ、アニメ、ゲーム)から、SNS、メタバース、ユーザー制作コンテンツといった新しい動向についても総合的に理解を深める。講義の進行とともに、映画、音楽、ゲームのような伝統的な制作物から、クロスメディアと呼ばれる新しい複合創作へと転換しつつある現代のコンテンツ産業の全体像について理解を深める。
・「ゲーム制作論基礎」シラバス
この授業では、ゲーム会社におけるゲーム制作から販売までの一般的なモデルケースを取り上げる。商業ゲームにおける企画立案に至るまでの経緯やプレゼンテーションやシステム設計・ビジュアルサウンドのデザイン、UI/UXデザイン、シナリオライティングなどゲームに必要なプロセスを種目ごとに取り上げる。いくつかの授業ではゲストスピーカーをお呼びし、実際の仕事についてディスカッションを行う。
・「ゲーム制作論応用」シラバス
この授業では、シューティングゲームからRPG、音楽ゲーム、オンラインゲームまで、一流のゲームクリエイターの実際の仕事を、各ジャンルごとのゲームデザインのケーススタディとして取り上げる。本授業を通して、一流の作品がなぜ一流であるかを理解する観察眼や、ものの見方の解像度を高める。いくつかの授業ではゲストスピーカーをお呼びし、実際の仕事についてディスカッションを行う。
・「文化資源とメタバース」シラバス
本演習では、メタバースと呼ばれるようになった仮想空間の起源と発展の経緯、現状の動向、そしてそれが本質として有しているコアな可能性を取り上げる。特に、伝統芸能からポップカルチャーにつながる文化資源を活用するメタバースの現状を詳細に理解していく。演習を通じて、メタバースの基本的な仕組みとその応用可能性を解説し、企画立案することができるような能力を養うことを目的とする。
・「文化資源のデジタルアーカイブ」シラバス
本演習では、文化資源を対象としたデジタルアーカイブの起源と発展の経緯、現状の動向について取り上げる。まず、文化資源に関わるデータベースやアーカイブの実践事例について学んだ上で、特にMANGAと称される現代のポップカルチャーのデジタルアーカイブがどのように構築されているかについて理解させる。演習を通じて、デジタルアーカイブの基本的な仕組みとその応用可能性を解説し、企画立案することができるような能力を養う。
・「ゼミ(文化資源アーカイブとメタバース)」シラバス
本ゼミでは、日本の表現文化(浮世絵からマリオまで)資源を対象としたアーカイブの歴史と現状に加えて、それらを社会的に活用するための新しい仮想環境として注目を集めているメタバースの動向について取り上げる。まず、表現文化資源に関わるデータベース/アーカイブ/メタバース(DAM)の実践事例について学んだ上で、新規のDAMを企画して構築する能力、また既存のDAMを活用した社会的サービスを練り上げて、実装していく能力を養う。
・「プロジェクト実践」シラバス
実社会で起こっている問題や課題を取り上げ、課題解決のステップを学びながら仮説と検証を繰り返し、学問分野に捉われず学修者自身が多様なデジタル・ツールを駆使し解決策を追求していく授業である。講義と演習を組み合わせ、テーマに関係のある事柄を中心とした学生同士の対話を繰り返し、様々な考えに触れながら検討・分析する。最終的には自ら考えた解決策を発表・フィードバックを行い、学生同士が学びを深めていくアクティブラーニングである。